文書編集中に入力するデータの表現様式を変更することは,編集のためのプログラムを切り替えることにつながります.
例えば,ワープロで文字入力のモードから図形の入力モードに切り替えます.すると,キーボードからの入力モードから,マウスなどを使って要素図形を入力するモードに変わります.
これはワープロの入力に関する部分のプログラムが,文字を入力するものから図形入力のものに切り替えられることを意味します.
このことからも分かるように,表現様式の変更は,入力方法や入力操作の変化を引き起こします.これは,表現様式を変更すると,切り替わったプログラムの個々の編集機能が編集対象とする基本要素も変わるからです.
ワープロで「挿入」メニューを選択した場合を例として,このことを考えてみます.カーソルのある位置にいろいろの表現様式の記述を挿入できるようになります.
「表」を挿入したとします.表を構成する基本要素は「行」や「列」ですから,挿入する表に,行や列を「挿入」したり「削除」したりすることができるメニューがかならず用意されています.
例えば,MSワードなら「罫線」メニューの中にあります.
表現様式が異なると,内容が同じ文書でもファイルの内容が異なります(3.9参照)から,1つの文書の中に異なる表現様式が混在すると,異なる方式で作られたデータが1つのファイルの中で混在することになります.したがって,それらを統一的に管理することが必要になります.
具体的には,文字を並べた行が繰り返される文書の1頁の中に,図表や絵をどのようにレイアウトするかとか,図表の中に文字データをどのようにはめ込むかというようなことを指定しなければなりません.
例えば,ワープロで文章を入力している途中に表とか図を挿入します.するとワープロは,文章入力の「地」とは異なる表現様式で挿入した部分を線で囲むなどして明示し,それを「地」にどのように配置するのかを指定することを求めてきます(3.20参照).
MSワードであれば,絵,写真,図を挿入するには「書式」メニューの選択肢「挿入」で,表の場合には「罫線」メニューの「挿入」で,それぞれ行うことになります.