ゼロからの情報システム

  現代社会の情報インフラの仕組みをゼロから学べます.

書式

情報社会に生きるアナタ.
自動車社会で自動車や高速道路や宅配便のこと知らないで生きていけますか.
情報社会では,スマホやパソコンやインターネットやウェブが,自動車や高速道路や宅配便に相当します.
このサイトは,パソコン使いのパソコン知らず,を対象に情報社会の基盤技術を説明します.

3.18 文書の1ページの見栄えを決める属性について

書式とは,文書のみばえのことです.コンテンツには関わりません.ただし,書式によって,意味が判りやすくなったり,読みやすくなったりします.書式のことを伝統的にはタイポグラフィと言いました.

文書は何枚かのページで構成されます.1枚のこともあれば,1000枚のこともあるでしょう.何頁で構成されていようが,各頁はそれぞれ,文書の基本要素を,どのように配置するかに関する書式を持っています.これをページレイアウトと言います.

ページレイアウトを規定する基本的要因には図20に示したようなものがあります.

    頁の形と大きさ:これは使う用紙の形とサイズですね.代表的なものにA判とかB判があります.我が国では最近はA判が主流ですね.A4サイズが最も良く使われていますが,その半分のA5サイズも比較的使われます.半分に折るとA4サイズ2枚になるA3サイズも使われます.A判は国際規格によって,各サイズの大きさが決められています.日本ではJIS規格で定められています.B判も同様にJISに定められています.欧米の用紙には「レターサイズ」があります.これはA4判の縦を少し縮めて,幅を少し広げた形をしています.

    上下左右の余白:用紙の端の,文書の内容となる文字や図表を書かずに空白にしておく範囲を余白と言います.上下左右の余白が狭く,紙面全体にびっちり文字が書かれた文書はあまり好まれません.私たちは手紙やハガキのような手書きの文書を作るとき,習慣的に自分の好みにあった余白を設定することが多いようです.パソコンで文書を作るときには,私たちがどのように余白を空けたいのかを,ソフトウェアに対して,きちんと指定する必要があります.

    ヘッダーフッター:紙面の上の余白に書く文字列を「ヘッダー」といいます.用紙の下の余白に書くものは「フッター」といいます.それぞれに書かれる内容は,これらの部分を何に使いたいかによって変わります.標準的には,見出し,ページ数,文書の作成日付などに使います.ヘッダーやフッターが書き込まれることを考慮した場合,上下左右にとる余白は,「文書の本文を書かない範囲」という方が適切ですね.

    段組:余白を除いた本文を書き込む範囲を考えます.この範囲をいくつに仕切って使うかが,段数です.二段組みというのは,2つに仕切って使うやり方をいいます.横書きするときには,縦に仕切っていきます.縦書きのときは,(新聞の構成のように)横に仕切って使います.段組という言葉は,ですから縦書きの場合から来ています.対応する英語を直訳すると「列の数」となりますから,これは明らかに縦に仕切ることを念頭においています.2段以上の段組の場合には,段と段の間にどのくらいの余白を取るかも決める必要があります.

    とじ代(しろ):冊子にするときには,右あるいは左側にホッチキスなどで留めます.そのためにとる余白の余裕分をとじ代といいます.


図20
図 20 ページレイアウトを規定する要素

3.7 文書やその作成作業に必要な一般的知識があります

文書の表現様式の多様化,また,コンテンツの作成者自身が文書の整形も行うことが多いという傾向などを見ると,パソコンの利用者にとって,次のような知識を身につけるという課題のあることがわかります.

文書の内容と構成についての知識:いわば作文の知識で,基本的には学校で学びます.文書の構成 要素としての動画や音声について学ぶ機会は,これまでのところ極めて限定的です.しかし,動画や音声を利用する文書表現の方法につていは,本書では割愛します.

文書の作成作業についての知識:手書きで作成することには熟練していても,パソコンで行う方法に関する一般的な知識を学ぶ機会は,これまでのところ限定的です.特定のソフトウェアの使い方を学ぶことはあっても,多くのソフトウェアに共通する事柄にはほとんど注目されてきませんでした.

文書の書式についての知識:手紙などの手書きを前提とした伝統的な文書の書式は実用事典のようなもので学ぶことができますが,大部分の場合,習慣的な書式を無意識に使っていることが多かったと思われます.これまでのところ,印刷物やウェブの書式を学ぶ機会は極めて少なかったといえます.文書の書式に関することは,一般の人には不要な専門知識と考えられてきたからです.しかし,パソコンを使う環境では利用者自身がそれを自覚的に使えることが必要です.

文書の再生・利用に関する知識:伝統的な媒体であれば問題ありませんが,パソコンを利用する媒体の場合は,媒体自体と媒体の再生・利用の方法に関する知識が必要になります.これには第1部と第2部の内容が基盤となりますが,具体的には,動画,音楽といった表現様式に応じた知識が必要です.しかし,こうした表現様式は仕事の中で必須になることは少ないと思われますので,本書では,再生・利用に関する分野も割愛します.

そこで,以下では文書の作成作業と書式を中心にして検討していきます.

代表的な表現様式の文書作成作業に,口頭での発表や報告の補助資料作成,データの蓄積と検索利用,既成のコンテンツ(ウェブ,ゲーム,音楽など)を利用する娯楽を加えると,私たちがパソコンを利用する文書活用の代表的な6つの分野になります.それを表3に示しました.

3 代表的なパソコン利用     

作 業 内 容

アプリケーションの種類例

文章中心の整形文書の作成

ワープロソフト,DTPソフト

図表を利用するデータ整理・分析

表計算ソフト

写真や画像の編集

画像編集ソフト,図形描画ソフト

口頭発表・報告のスライドや資料

プレゼンテーションソフト

データ蓄積と検索利用

データベースソフト,表計算ソフト

既成のコンテンツの利用

各種リーダソフト,ブラウザ

 

3.6 文書はコンテンツと書式からなる

私たちは実に多様な書類を作成しています.メモ,日記,手紙,葉書,レポート,確定申告,報告資料,・・・・.

異なる目的で書かれた書類を見ると,だれでも違っているのが判ります.なぜでしょうか.それは目的に応じて,異なる種類の書類にするからです.

書類の違いのポイントは2つあります.1つは,書かれている内容です.いわゆるコンテンツです.手紙に書くことは,日記に書くこととずいぶん違いますね.

また,書類の体裁も異なります.手紙はほぼ100%,一枚ずつ分かれる用紙に書きますが,日記は綴じたノートのようなものに書かれるでしょう.これは,書類の違いのもう一つのポイントである書式フォーマット)の一部です.

書式とは書類の「見ばえ」のことです.

書類がコミュニケーションに役立つには,その作り手と受け手が,どのような文書にどのようなコンテンツをどのような書式で記載するか,を了解し合っていることが必要です.

すなわち,さまざまな書類の作り方と使い方は,広い意味のプロトコル1.35参照)の一部です.

以下で検討するのは,私たちが紙にプリントしたり,手書きしたりする書類についてです.書類の作成や管理にまつわる作業や概念の初歩的な理解することが検討の目的です.

これは小中高校あるいは大学でも勉強したことです.わざわざそんなことを再検討する理由は,こうしたことがワープロや表計算のソフトウェアを利用するときに本質的な事柄であるばかりでなく,パソコンで業務を行う際に表示されるディスプレイ画面は,伝票などの書類が元になることも多いからです.

一般に,パソコンの世界では書類全般を文書あるいはドキュメントと言います.

伝統的には,文書とは文字だけを使って紙に書き記されたものですが,パソコンで作る文書の表現様式はもっとずっと多様で豊かです.そこで,文書とは「文章,表,図,絵,動画,音声など,なんらかの表現様式を単独あるいは組み合わせて利用し,人の意思や感情を記述したもの」と規定します.

 パソコンの文書はデータとして記憶装置に保存されます.それを印刷して利用するのが普通のやり方と言えます.しかし,データを保存した記憶媒体を直接交換し,それを再生装置にかけて内容を見たり読んだりすることもします.そのような場合も,文書によるコミュニケーションであると言えます.
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