本項では,読み出し・書き込みをする際の記憶の量の面から考えます.
最近のパソコンのCPUには,4バイト(32ビット)を一括処理するように設計されたものと,8バイト(64ビット)を一括処理するように設計されたものがあるのですが,いづれにしろ,CPUはこれらの単位ごとのデータを,極めて高速に処理します.
したがって,CPUに直接データを提供する記憶装置は,高速で,4バイトまたは8バイトのデータを個別に扱うことができるものであることが必要です.キャッシュメモリやRAMはそうした記憶装置です.
もともと,RAMという略語は,1つ1つの記憶をバラバラな順序で読み込み・書き出しができる記憶装置という意味の英語の頭文字を並べたものです(1.6参照).
補助記憶装置の記憶を利用する時には,CPUは前もって,その記憶をRAMに取り出しておく必要があります.
このことは,補助記憶装置の記憶をRAMに取り出すことをCPUに指示するプログラムがあることを意味します.利用する「記憶」が基本ソフトウェアの場合にはブートローダがそのプログラムですし,応用プログラムの場合には基本ソフトウェアがそのプログラムに当たります.利用する「記憶」がデータの集まりであれば,そのデータを利用するプログラムがそれに相当します.
補助記憶装置はCPUの処理速度にくらべて格段に遅いので,そのデータを読み書きするときにCPUは,読み書きの原因となったこれらのプログラムの実行を一時中断して,補助記憶装置からの応答を待たなければなりません.中断する時間は1000分の1秒とか,10000分の1秒でも,CPUの処理のスピードをもってすれば,多くのことができる時間です.
従って,この中断回数をできるだけ少なくすることは,CPUの有効利用を高める上での大きな問題となります.そのため一般に,補助記憶装置の記憶を読み書きする時には,数キロバイトから数十キロバイトのデータをひとまとまりにして一括して行います(第2部2.37参照).