補助記憶装置の記憶媒体であるハードディスクCDDVDなどは,円盤の上に同心円状に磁気テープ,つまり,ビデオテープを貼り付けたような構造になっています(図16).

もちろん,このテープのようなものは極めて細いのです.しかし,同心円状に記憶する場所が並んでいるということが重要です.



図16

  16 ハードディスク,CDDVDなどの円盤形記憶媒体の記憶構造

同心円状の記憶場所のことをトラックと呼びます.運動場の走るコースのことをトラックといいますが,それと同じ意味です.トラックの幅はミクロンμ,すなわち1000分の1ミリメートルのオーダです.

1つのトラックはセクタと呼ばれる小さな短冊状に区切られます.一本のトラックの上の位置は,「特定の位置」から何セクタ目か,によって記述します.

この「特定の位置」の印は,OSに合わせて記憶媒体を利用可能な状態にするために行う,フォーマットという作業の中で,付けられます.

たくさんあるトラックの中のどれの,円周上の特定の場所からどのくらい離れたところにあるセクタかということで,記憶の位置を決めます.

OSがプログラムやデータを読み書きする最小単位は,原理的には1セクタです.1セクタの大きさは,一般に512バイトかその整数倍です

しかし,最近のハードディスクの記憶容量は極めて大きいので,セクタ単位で読み書きしていたのでは,高速な読み書きができません.そのために1つ以上のセクタをまとめたクラスタという読み書きの単位を用います.

例えば,1クラスタが512バイトの8倍で4KB(キロバイト)のハードディスク装置を使っているとします.あなたのエクセルの表には少ししかデータが入っていなくて,このデータは450バイトしかないとします.

この場合,OSがこのデータをハードディスクに書き込む時には,この450バイトに4KBの1クラスタをまるまる使います.もちろん,読み出す時もクラスタ全体を読み込んで,その中から必要な450バイトを残し,余分な分を破棄します.