パソコンの情報システムが単なる電気・電子装置だという意味では,家電品と同じです.しかし,パソコンが私たちに与える影響は,家電品とくらべものになりません.なぜならパソコンを通して私たちはデータを利用したり,情報を獲得したりするからです.

 情報は私たちの判断や決定の基礎になります.情報がなければ私たちは適切な判断や決定ができず,したがって,適切な行動ができません.

 私たちが「智恵のあるヒト(ホモ サピエンス)」であるとすれば,パソコンを通して獲得する情報は人間としての基盤でもあるのです.

 パソコンの情報システムが,情報社会において極めて重要な生活基盤となるのは,このためです.

  この情報システムは3種類の資源から構成されると,一般に考えられます.

パソコンの情報システムを私たちは,目に見えているパソコン本体,キーボード,マウスおよびディスプレイのようなものと直感的に捉えています.これらはハードウェア資源と呼ばれる種類の,情報システムを構成する資源の例です.

一般的には,パソコンはソフトウェア資源と呼ばれる別の種類の資源も構成要素としていることは,もう判ると思います.ここでいうソフトウェア資源とはソフトウェアの集まりで,各ソフトウェアはプログラムとデータからなります.

私たちの知的生活は,私たち自身の情報処理によって支えられていますが,パソコンの情報システムは情報処理を支援する生活基盤として,私たちの知的能力を増幅するのに使えます.こう言ったのはGUIを開発したアラン ケイです.

利用者を中心とするこのような情報世界を,パソコンを中心とする視点から見直してみますと,情報システムの有効性は,利用者がそれを活用できて初めて効果を発揮します.つまり,利用者のパソコン活用能力(=ITリテラシー)および情報活用能力(情報リテラシー)が情報システムの有効性を大きく左右します

そこで,パソコン利用に関わる人材とその能力は人的資源ヒューマンウェア)と呼ばれています.

 結論として,パソコンを中心とする情報システムを構成する資源は以3種類で,これらをまとめて情報システム資源と呼びます.