タッチパネルには,指やペンで押しつけた場所の縦と横の位置が判る仕組みがあります.この仕組みを実現するには,いくつかの電気的磁気的な方法があります.
どの方法の場合も,キーボードの配線図と同じように,縦と横の線が構成する格子点を使います.格子点がキーボードが接続した縦横の配線の交点に相当します.しかし,これを実現するのに使われる媒体が(キーボードの場合と違って)極めて薄く作られており,厚さは100万分の1ミリメートル(10ナノメートル)程度ですから,分子の厚さに近いと言えるでしょう.ほぼ透明ですから,格子は見えません.
格子点が縦横に多数,密に配置されていることと,配線のパネルが極めて薄いことを除けば,仕組みはキーボードの写真11の上段のプリント回路と本質的な違いはありません.指やペンがスイッチの役割をするのです.
タッチパネルには格子がなんらかの方法で実現されていて,どこにタッチしたかが縦と横の線の位置で判るのだ,というところがキーボードと同じ仕組みなのです.
タッチパネルはディスプレイの表面にはめ込まれていますから,ディスプレイのどの画素(ピクセル)が,タッチパネルのどの格子点に対応するかは,固定的に決まっています.
しかも,ディスプレイのどこにどんなアイコンを表示しているか,どんなメニューを表示しているかを,(その指示をした)CPUは知っています.
もう,なぜタッチパネルがCPUへの入力装置となりうるかが判りましたね.そう,タッチパネルの押された位置にあるアイコンが何か,とか,メニューが何かを,CPUはこの対応関係を使って知ることができるのです.
指を動かしたときに,タッチパネルのどの格子点をどんな風にたどったかを知ることができます.どんな風に動いたかに応じて,画面上の表示を移動させたり,拡大縮小させたりするというルール,つまり,プロトコルを決めておけば,CPUはその通りにする事ができます.
もちろんそれが可能なのは,移動や拡大縮小をどうやって判断するのかを,CPUに指示することができるタッチパネルのデバイスドライバのプログラムがあるからです.
画面にキーボードの絵を表示しておいて,タッチしたキーに応じた文字を入力できるようにしたもの,これをソフトキーボードというのですが,こんなことを実現するのは,タッチパネルを使えば難しくないのが,もう判りますネ.
なお,ディスプレイにキーボードの図を表示しておき,そのキーをマウスで左クリックすることで,入力するものもソフトキーボードと呼ばれます.その仕組みはもう想像できますね.