ゼロからの情報システム

  現代社会の情報インフラの仕組みをゼロから学べます.

マウス

情報社会に生きるアナタ.
自動車社会で自動車や高速道路や宅配便のこと知らないで生きていけますか.
情報社会では,スマホやパソコンやインターネットやウェブが,自動車や高速道路や宅配便に相当します.
このサイトは,パソコン使いのパソコン知らず,を対象に情報社会の基盤技術を説明します.

3.4 マウスのボタンの標準的な機能について

さて,マウスの話に移りましょう.マウスmouseと書きますが,これは「ネズミ」のことです.

エンゲルバートが発明した当時,マウスは現在のものとは違って,線が手首の側にあって,ネズミの尻尾のように見えたのだそうです.

同じような音の英語にmouthがありますが,こちらではないのです.だって,この語の意味は「口」ですから.

マウスは発明された当初,ボタンが三つだったそうですが,今ではボタンが1つのものから6個くらいのものまであります.

しかし,最もありふれているのは,ボタンが2つとその間にホイール(車輪)が1つ付いたものでしょう.

この種のものでは,OSの上で利用する場合には,左ボタンマウスポインタが指しているアイコンやメニューやファイルの選択,つまり,それに関連するプログラムの起動のために使います.

これに対して,アプリケーションの上で利用する場合には,カーソルの位置を確定したり,希望する領域を選択するのに使います.

一方,右ボタンは,マウスポインタが指しているアイコンや領域に関連して行う操作のメニューをポップアップするのに使います.

ホイールカーソルの移動を効率的にできるような機能が付与されています.

以上のような機能が,マウスの各ボタンに割り付けられる標準的なものです.

特殊キーやマウスの慣例的な使い方を知っておくといろいろと便利なことが多いのですが,そうした知識以上に重要なことがあります.

それはタイピングの技術そのものです.つまり,ブラインドタッチです.

ブラインドは,「盲目的な」という意味,タッチとはタイプライタやピアノのキーの打ち方をいいますから,ブラインドタッチとは,キーを見ないで打つやり方をいいます.

1.43 ダブルクリックは基本ソフトウェアと利用者のプロトコルです

マウスで矢印を動かして,それを目指すアイコンの上に持っていって,そこでダブルクリックすると,必要なソフトウェアが起動します.

その時,実際には何が起こっているかを考えてみましょう.

画面に描いたアイコンや作業のためのウィンドウの位置,ウインドウの中のどこにどんなツールバーを描いたかなど,すべてをCPURAMに記憶しています.なにせ,CPU自体がそのための指示をVRAMに書き込むのですから.もちろん,マウスポインタの位置も記憶しています.

さて,いまマウスを動かしてポインタの位置を移動させます.あなたのマウス操作が的確であれば,マウスポインタは目標とするアイコンを描いた位置に重なります.

これはCPUが,マウスの動きに合わせてポインタを描く位置を移動させたから起こっていることだと,すでに分かっていますね.実はCPUはマウスポインタの描く位置を移動するたびに,その位置がアイコンと重なっていないかをチェックしているのです.これは基本ソフトウェアの指示です.

マウスポインタがアイコンと重なると,CPUはアイコンの絵を違う絵で置き換えます.ホラ,アイコンが縁取られますね.これはCPUが「マウスの矢印とアイコンが重なったことに気づいている」ということを,私たちに教えているのです.

マウスポインタがアイコンに重なると,間髪を入れず縁取りができるのは,CPUのスピードに依ることを思い出しましょう.

「一瞬」とは,まばたきを1回する時間です.私たちにとっては大変短い時間を象徴する言葉ですが,これは0.1秒か0.15秒だと言われています.

そこで,マウスの左側のボタンをカチカチと素早く押します.左のダブルクリックですね.

英語のクリックclickは,実は,「カチカチという音を出す」という意味です.ダブルクリックというのは,ですから「カチカチと2回やる」と言っているだけなのです.

念のために付け加えておきますと,カチカチという音は,私たちがボタンをちゃんと押したことが判るように出しているので,CPUがこの音を聞いているわけではありません.

ダブルクリックの信号が入ったとき,マウスポインタと重なっているアイコンがあれば,それにふさわしいソフトウェアを起動する,というのが基本ソフトウェアの一般的な規則(利用者との間のプロトコル)です.

 それに従ってCPUは,ハードディスクから必要なプログラムをRAM装填して,そのプログラムの実行を始めるわけです.

1.42 マウスの役割は信号をCPUに伝えることです

普通は矢印になっていて,マウスを動かすにつれてディスプレイ上で移動する図形は,一般的に,マウスポインタと呼ばれます.

マウスポインタの図形には,矢印ばかりでなく,いろいろな形状を使えます.また,自分で好みのものを作ることもできます.しかし,以下では矢印を想定して話を進めます.

マウスはディスプレイにマウスポインタを書くものでも,マウスポインタを動かすものでもない,ということは既に述べました(1.37参照).

ディスプレイ上のマウスポインタは,CPUが(VRAMを利用してディスプレイに)指示をして描くので,CPUはその位置を常に知っていることを,もう一度,思い出して下さい.

マウスが上下左右どの方向へ,どのくらい動いたかが判るような信号(つまり,データ)が,マウスを動かしたときにCPUへ送られます.CPUは,その信号を分析することによって,マウスの移動方向や移動スピードを知ります.

私たちにマウスポインタがスムースに動いているように見せるには,さっき描いたマウスポインタの位置を基にして,マウスポインタを描く位置を数画素1.46参照)の分だけ右にずらすようにVRAMに書き込むことを,マウスの移動方向や移動スピードに合わせた適当な周期で行うだけでよいのです(1.37参照).

結論を言えば,マウスはCPUに信号(あるいはデータ)を伝えるだけのものなのです.マウスポインタを動かすとかクリックしてマウスポインタが指している対象を選択するというような機能は,マウスには無いのです.

こうしたことは,マウスの信号を受けたCPUが基本ソフトウェアのプログラムを利用して行っています.

何となく混乱してきたのではないかと恐れています.「CPUが描いている」と言うけれど,マウスでポインタを動かして,それを求めるアイコンの上に持っていって,そこでダブルクリックすると,必要なソフトウェアが起動される.だから,マウスポインタがCPUに指示を出しているのではないか.そう思っている人がいるかも知れません.

  そう思うのはもっともで,自然なことです.なにしろ,このような仕組み(グラフィカルユーザインターフェース,略してGUI,第2部参照)を発明した人は,まさにそのような錯覚を起こして欲しいと考えて,CPUの処理の速いことを利用したのですから.
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ヤッキー

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