最後の必要条件は,開発するプログラムを適切に利用し,処理結果を上手に活用する能力意欲を,あなたが持っていることです.これはあなた(あるいはソフトウェアの利用者)自身の問題です.

これには,パソコンやソフトウェアを利用する能力,いわゆるコンピュータリテラシと,データから有効な意味合いを読みとって的確な判断をする能力,つまり,情報リテラシの両方が関わります.

本書はコンピュータリテラシの基盤的知識の提供を主たる目的としています.じっくり本書で学習した皆さんは,コンピュータリテラシの基礎を身につけていると信じます.

情報リテラシは,結局,学校での勉強を良くし,さまざまな経験を積むことで,高めることができるでしょう.突き詰めて考えると,これは問題解決能力と同義と言って良いと思われます.問題解決能力について,最近は人間力という表現も使われます.

実は,第1から第3の必要条件が満たされるかどうかは,情報リテラシの高さによって大きな影響を受けます.組織的な仕事なら組織の,個人的な仕事なら個人の,問題解決能力の高いことがパソコンの利用を進めるには不可欠のことなのです.

なにせ,パソコンは「知的能力の増幅装置」GUIを開発したケイの言葉)でしかないのです.しかし,知的能力を増幅できるパソコンを有効に利用するなら,あなたの能力が何倍にもなります.

情報化社会(ユビキタス社会)では,パソコンを中心とする情報システムを使えるか使えないかは,競争力の大きな差を生みます.現代に生きる個人にとっても組織にとっても,パソコンを知ること,もう少し一般的な表現をすれば,情報システムの仕組みと活用方法を理解することは,極めて重要なことです.

必要条件のどれかが満たされないからといって諦めることはありません.仕事は,工夫すればもっと小さないくつかの仕事に分割できることが多いからからです.

 分割して出来る,より小さな仕事であれば,4つの必要条件を満たすかも知れません.しかも,分割の仕方は1つとは限りません.分割を工夫すれば,たいがいの仕事は,少なくとも部分的にはパソコン化が可能です.工夫次第で,パソコンの効果的な使い方が発見できるものです.