利用者とOSは,データ処理に関して補助記憶装置と対話するのにファイルを使いますので,すべてのソフトウェアやデータをファイルにする必要があります

このような仕組みにした理由は,CPUの処理速度と,利用者の作業や補助記憶装置の読み書きの速度が違い過ぎるからです.処理速度の速いCPUを効率的に利用するには,補助記憶装置を読み書きする回数をできるだけ少なくしたいのです.

従って,CPUに補助記憶装置の読み書きを指示するプログラムは,読み書きが必要なデータをなるべく一括して処理します.

このとき,この一括したデータ全体を他と見分けるために付ける名前がファイル名です.

一括してファイル名をつけたデータは,ひとまとめにして補助記憶装置に書き込みます.これがファイルです.ソフトウェアはファイルのデータを必要に応じて読み出して処理します.その時,ファイル名を指定して読み出します.

例えば,パソコンで写真を見ようとする時,あなたはエクスプローラでファイルを捜し,見たい写真のファイル名を左ダブルクリックします.このときあなたは,「このファイル名のデータの処理を開始します」とOSに指示したのです.

このファイルのデータを処理する「適切なプログラム」をどうやって判定するのかは後で説明しますが,OSは「適切なプログラム」を起動して,タスクを始めます(2.38).ですから,写真が表示されるのです.実際,「適切なプログラム」の名前は,写真が表示されるウィンドウの枠の左上に表示されています.

補助記憶装置に書き込まれたファイルのファイル名は,書き込んだ日時,実際の大きさ,書き込んだ補助記憶装置の位置などとともに,補助記憶装置の「決まった位置」に書き込まれます

 ファイルの読み込みが必要になると,OSは補助記憶装置から,この「決まった位置」のデータを最初に読み込んで,読み込むファイル名に一致する記録を捜し,その内容を利用して,ファイルを読み出して,処理するソフトウェアに渡します.