メモリ管理とタスク管理から分かることは,OSがRAMに何を装填するかを決めているということです.パソコンの利用者はRAMを自分の意思で使うことができないということになります.
それでは利用者がパソコンでの仕事を開始する時には,一体,どうやってCPUに指示をしているのでしょう.CPUに仕事をさせるには,仕事に必要なソフトウェアをRAMに装填しなければならないことは,1.15で述べた通りです.
CPUはOSの指示に従って,RAMを使うのですから,私たちは,OSに指示することになります.
そこで,私たちはOSとの対話のための言葉が必要だと気づきます.
実は,私たちがデスクトップのアイコンをクリックするのは,OSに対する合図なのです.そして,クリックする時,デスクトップに表示されている何をマウスカーソルで指しているかが,OSに対する指示の内容なのです.
マウスカーソルとクリックの組み合わせがOSとの対話のための言葉だということになります.
マウスカーソルが何を指しているか,右クリックと左クリックのどちらか,クリックしたままなのかシングルクリックとダブルクリックのどちらか,これらの組み合わせが,OSとの対話のための言葉,すなわち,パソコンの使い方の中核なのです.
ウィンドウズOSの既定値では,左下に矢印が付いているアイコンがソフトウェアのものです.マウスカーソルがソフトウェアのアイコンの上にある時に,左クリックをすると,それはそのソフトウェアに関する操作です.左ダブルクリックがそのソフトウェアを使う仕事の開始の指示です.つまり,RAMにそのソフトウェアを装填して起動せよ,という指示になります.
右クリックは,ソフトウェアの「ファイル」に対する操作のメニューを表示します.
左下に矢印が付いてないアイコンはデータの「ファイル」のものです.これを左ダブルクリックすると,そのデータの処理を開始することをOSに指示したことになります.この時OSは,その「ファイル」のデータを処理するソフトウェアをRAMに装填して起動します.
右クリックすると,これはソフトウェアのアイコンの場合と同様に,このデータの「ファイル」に対する操作のメニューを表示します.
「ファイル」は,これから分かるようにパソコンの利用にとって重要なものです.以下のいくつかの項では「ファイル」を勉強します.