キーボードが押されたキーに対応する信号をCPUに送る装置だということは,既に説明しました(1.36参照).それが可能であるためには,押されたキーがどれかを知る仕組みが必要です.ここではそれを調べます.
写真11に示した実際のキーボードを見てみましょう.上段にはキーボードに組み込まれている配線図を示しました.その右上にある橙色の板がキーに対応する信号を発生する電子回路です.
配線図は実は,縦の線を印刷した透明のプラスチックと横の線を印刷した透明のプラスチックが重ねられています.この配線は,下段に示したキーボードの上蓋の下に組み付けられます.
写真 11 キーボードの仕組み
配線の中に見える●は,キーが押されると縦線と横線が接触する点です.この●のところで垂直と水平の線が実際に交差しているのが見えると思います.数カ所,線が工作していない●がありますが,これは配線図をキーボードの下板に留めるための穴で,キーには対応していません.
それぞれのキーの下には,●が来るように位置が決められています.別の言い方をすれば,キーと●の1対1の対応関係が決まっています.そこで,この対応関係の表を作っておきます.
二枚のプラスチックは腰が強く,その間に●の位置が丸くくり抜かれた,上と下の●を接触しないようにするシートが一枚挟まれています.
各キーの下の方は丸い棒のようになっていて,キーを押すとこの棒が●の位置を押さえ,それで縦と横の線が接触します.つまり,キーはスイッチの役割を果たすのです.
1つのキーを押しますと,キーに押されて接触した縦と横の線だけに電気が流れます.それを検出して対応表を調べ,押されたキーに対応する信号をCPUに送るように右上の電子回路が作られているのです.