パソコンでは一般に,ハードディスクばなりでなく,フロッピディスク,CD-ROM,DVD,あるいは,USBメモリからもブートする(基本ソフトウェアを取り込む)ことができます.それでどの装置からブートするかを設定する必要があります.
写真10(a)の画面では,第一にCD-ROM装置を,二番目にフロッピディスク装置など(Removable Devices),そして三番目にハードディスク装置を探してブートローダと基本ソフトウェアのプログラムを見つけるように指示しています.
何かの都合で通常使うブート可能な装置を使えない場合に利用したい装置の順に下から並べていきます.そうすると,ハードディスクに記憶した基本ソフトウェアのプログラムが正常に働かなくなったときの修理に都合が良いのです.
例えば,通常はブート可能な装置としてハードディスク装置を使っているとします.もし,このハードディスク装置が故障して使えなくなったとします.写真10画面(a)の設定では,基本ソフトウェアが入っているフロッピディスクをフロッピディスク装置に挿入するか,CDをCD-ROM装置に挿入します.すると,ローダは,故障のあるハードディスク装置よりも前にこれらの装置を捜してブートローダと基本ソフトウェアをロードしようとします.
四番目にはネットワークからダウンロードする場合が設定されています.これは,ハードディスクを通常のブート可能な装置として使うのですが,パソコンのブートが済んだ後にこれが使用不可になった時,ネットワークに接続した別のパソコンの装置を利用できるように設定したものです.
写真10画面(b)は(a)の画面で左下段にあるHard Driveという項目を選択した時に現れるものです.Hard Driveとは,ハードディスク装置のことです.
このパソコンにはハードディスク装置が内蔵されていますが,外付けすることも可能なため,ブート可能な装置としての優先順位(ブートローダや基本ソフトウェアを探す順番)を指定する必要があります.それをここで行っています.
画面(b)では,このパソコンには外付けハードディスク装置が2台接続されており,Maxter(内蔵ハードディスク装置)から1,2,3のような順番で探し,利用できる最初の装置からブートすることを指示しています.
1.23からここまで述べてきたように,設定ユーティリティというプログラムは,パソコンに,周辺装置がどんなコネクタから接続され,基本ソフトウェアがどこにあるかを教えているのです.そうやって教えてやるからこそ,パソコンはキーボードからの入力を受け取り,ディスプレイに文字や画像を表示し,マウスからの信号を受け取ることができるようになるのです.
ただし,ブート装置以外のさまざまな周辺装置の動かし方までは,バイオスプログラムに含めることができません.また,ブート装置についても,最近は多様な機能を持つものが増えています.そうした機能のすべての操作をバイオスプログラムでカバーすることには困難があります.
そこで,これにはデバイスドライバと呼ばれるソフトウェアを装置ごとに準備し,基本ソフトウェアがそれを使い分けることで対応します(1.39参照).